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掛軸 小川千甕
明治から昭和にかけ日本を代表する掛軸画家のひとり、小川千甕。本名は多三郎と言います。1882年京都に生まれます。最初に田中一華に入門して日本画を学びます。後に仏画師北村敬重の弟子となります。そしてその後はさらに聖護院洋画研究所で浅井忠に師事し聖護院洋画研究所や関西美術院で洋画も学びました。彼は関西美術界協議会で三等賞を1904年に受賞します。浅井忠没後は東京に移住しながら挿絵などの仕事をはじめます。当時の画家の多くがそうして生計を立てていたように、彼も新聞などにも挿絵をしています。1913年に渡欧した彼は洋画の研鑽を積みます。そして帰国後は二科会創立にも参加し二科点に油絵を出品します。川端竜子、小川芋銭、平福百穂らとともに珊瑚会を結成します。油絵から南画に転じて院展に「青田」や「多面の雪」などを出展。日本南画院にも作品を多数出品しました。大東南宗院委員としても活動し、その生涯を閉じるまで多くの作品をこの世に生み、その多彩な才能を思う存分発揮し活躍されました。和歌、俳句、随筆も愛し歌人としても知られている多彩な才能の持ち主でもある小川千甕。芭蕉、蕪村、良寛を大変好んでいたと言われています。仏典や国文や漢文においても造詣が深く何事も意欲的に物事を吸収出来る人だったと推測できます。根底は日本画家でありながら、様々な分野を学んだ彼は知識人としての人生を歩んでいたように感じます。作品にもこうした思想は表れているのではないでしょうか?戦後は松坂屋や高島屋などで個展を開きます。こうした深い造詣を元に、日本画だけでなく洋画、和歌や俳句や書などの作品も数多くの作品を制作。現在でも様々な分野で彼の名前を聞くことがあるでしょう。彼は1971年に88歳の生涯を閉じるまで数々の日本画・洋画・諸作品をこの世に送り出しました。小川千甕の作品は「独立行政法人国立美術館」で観ることができます。また、コレクターの中には彼の作品を愛蔵している人も居ます。
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